予防接種(不活化ポリオワクチン)
平成24年9月から当院が輸入していたIMOVAXポリオと内容が全く同じものが定期接種になりました。
補償は一番手厚いものになりました。接種スケジュールは以前当ホームページで示したものとは異なります。厚労省のスケジュールでは2歳以前に接種が完了してしまいます。
アメリカでは早期に終了した場合はポリオに対する抗体が早期に低下してしまうため、4歳以後に追加接種を勧めています。フランスでは20歳までに不活化ポリオワクチンを7回接種します。4歳過ぎの追加接種が重要です。
また、今回の定期接種としての無料接種は3年間で終了してしまう恐れがあります。そのため、いくつかの方針が不活化ポリオを自主的に接種していた医療機関から提起されています。当院では大きく分けて2つの方法を勧めたいと考えています。
- すでに3回接種して1歳を過ぎた方は4歳の誕生日以後に1回接種。
- まだ1回か2回しか当院で接種していない方
- 定期接種で3回までは接種する。
その場合、問診票には公費で1回目なので上段には1回目に丸をつける。 - 4回目は3回目から1年後に接種しておく。5回目は4歳以後に接種する。計5回。
このスケジュールはスイスの方針を踏襲しています。 - 4歳を過ぎたときのワクチンの在庫があるか心配でしたが、メーカーの話では一度定期接種になったワクチンを副作用などの理由無く製造、輸入を中止はしないとのことです。3回接種が終了していれば、4歳以後の5回目の追加接種は可能です。
- 定期接種で3回までは接種する。
厚労省は自治体との対話の中で両親と医師が共に納得すれば既に接種した回数を減らして接種出来るとしています。つまり、両親が公費で1回目として接種を希望すれば、1回目の接種となります。医師や行政から接種回数の制限の強制はできないのです。海外でポリオワクチンを接種した児も同様です。ブラジルでは5回くらい生ポリオの接種を受けている人もいて回数の制限はありません。フランスでは20歳までに不活化ポリオワクチンを7回接種します。この点は太田市のワクチン担当者にも確認をとってあります。
残念なことに自費で不活化ポリオワクチンを接種した方にいくつかの自治体や医療機関から「自費で接種した方には接種出来ません」などの発言があったと数人の母親から電話がありました。こうした人権無視の発言には地域の保健センターなどに問い合わせて下さい。当医院からも自治体に抗議の電話したことがあります。
H25.6.20更新
日本では1961年にポリオの大流行があり、流行阻止のため弱毒化した経口ポリオワクチン(OPV)を緊急輸入し劇的な効果を上げました。その後、日本においては1981年以来野生株ポリオの感染者はいません。しかし、世界ではインド、ナイジェリアなどでは流行が起きており、日本にウイルスが持ち込まれ、発病する危険は存在します。ポリオに感染した場合の有効な治療法はありません。ワクチンによる予防のみが対処法です。そのため世界中でポリオワクチンが接種されています。
ポリオワクチンには生きたウイルスを弱毒化した経口生ワクチン(OPV)とウイルスを化学処理して感染性や病原性をなくした不活化ワクチン(IPV)があります。
経口生ワクチンは公費で接種でき(基本的に無料です)、万が一の副作用が発生したときは国が認定すれば公的補助が受けられる場合があります。しかし、生ワクチンには接種した人がポリオを発症したり接種しなかった人も接種した人からポリオに感染し麻痺症状が出る(VAPP) 危険が存在します。平成20年3月14日当時の福田総理大臣は参議院での答弁書で予防接種健康被害認定審査会において生ポリオワクチン接種後に麻痺を発症したと認定された事例は、平成元年度以降80件であり、また、同審査会において生ポリオワクチンを接種された者からの二次感染と認定された事例は、平成16年度以降5件であるとVAPPの発生を認めています。
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/169/touh/t169063.htm
ワクチンを接種した人がVAPPになる確率は200万接種から486万接種に1回と言われています。ワクチンを接種しなかった人にはその1/2から1/10といわれています。このVAPPはOPVを使用しなければ予防できる麻痺です。このため、先進国では経口ポリオワクチン(OPV)から不活化ポリオワクチン(IPV)へ移行しています。米国がOPVからIPV に切り替えに際して移行期間をもうけ、IPV2回の後にOPV2回を接種としました。この移行期間中にIPVによるVAPPは1例も報告されていません。IPVよりも先にOPVを飲んだ子供がVAPPを発症しました。現在、米国ではIPVの4回接種のみです。
日本でも小児科学会はIPVが必要と認めていますが、OPV続行を認めています。
http://www.jpeds.or.jp/saisin/saisin_100823.html
最近では、平成22年には神戸市と藤沢市の2例VAPPの報道があります。このままOPVを続行しておいて良いかについては大きな疑問があり、不安を覚える保護者がおられますしかし、現在日本にはIPVは製造されていませんし、承認までにはまだ数年かかります。
そこで当院では緊急避難措置として輸入によるIPV接種を希望者に対して開始します。当院が輸入するワクチン(IPV)は世界中で数多くの実績があり、ポリオ様麻痺(VAPP)といった副作用は理論的にも起こりえず、実際にも報告はありません。
IPVは国内認可ワクチンではないためいくつかの問題があります。
国の認可がないので副反応(注射によるショックなど)に国の保証がありません。副反応で被害が起きた場合には当院では下記2つの輸入代行業者を通していますが、輸入する代行業者が各々独自の補償制度を持っています。
RHCの補償制度は以下のとおりです。
http://www.rhc-net.com/vaccine/documents/vaccine-doc01.pdf
http://www.rhc-net.com/vaccine/documents/vaccine-doc02.pdf
MONZENの補償制度は以下のとおりです。
http://www.monzen.co.jp/html/newpage.html?code=17
現行の定期接種ワクチンよりは補償額は低い事はIPV接種を希望する方は承知しておいて下さい。
当院で使用するIPVは以下の規格です。
薬剤名 | IMOVAX Polio 0.5mL |
---|---|
製造元 | Sanofi Pasteur |
製造国 | フランス |
輸入商社 | RHC http://www.rhc-net.com/、MONZEN http://www.monzen.co.jp/ |
出荷国 | 香港(RHC)、シンガポール(MONZEN) |
注射部位 | 腕または太もも |
方法 | 皮下注射または筋肉注射 |
部位や接種法はCDC(米国疾病予防管理センター)の方法に準じて行います。
http://aimtoolkit.org/children/immun/Giving_all_doses_under_12_mths_011312.pdf
http://aimtoolkit.org/children/immun/Giving_all_the_doses_12_mths_011312.pdf
また、カナダではIPV単独では皮下注ですが他のワクチンとの混合したワクチンでは筋注としています。(IPVーmlで宝樹先生の情報から。277ページからのポリオの項目で281ページにあります)
http://www.phac-aspc.gc.ca/publicat/cig-gci/pdf/cig-gci-2006_e.pdf
上肢への皮下注を当院では標準にしていますが、IPV接種医療機関の中では抗体が上昇し易いとして大腿部に筋注をしているところもあります。以前に筋注で接種していられる方もおられます。そこで、希望者には大腿部に筋注します。また、ヒブや肺炎球菌ワクチンの接種時期が重なる方には大腿部に筋注します。希望があれば来院時に希望を受付で伝えて下さい。
日本ではOPVが主流のためIPVでの免疫(防御)が出来る前にOPVを接種したり、OPVを接種した児から二次感染の危険を否定できません。保育園などの集団生活に入る前、出来るだけ早期にIPV2回接種が必要と考えております。
接種スケジュールと回数ですが、いくつかの方式があります。
- 1回も受けていない場合はIPVのみとする方法を標準的に考えています。
1回目:生後2ヶ月から
2回目:1回目から4から8週後
3回目:2回目の6から18ヶ月後
4回目:4から6歳(合計4回) - スケジュールを外れた4ヶ月~6歳児(Catch up schedule)
1回目:任意の時期(出来るだけ早期に)
2回目:1回目から4週後
3回目:2回目から4週後
4回目:4歳(~6歳)
IPV接種開始以来ほとんどの方がこのⅡに当てはまります。正規のスケジュールより早期に終了してしまうこともあり、接種時に次回の予定を指示して予約してもらっています。 - 先に記した米国でのIPVへの移行期のように自費IPV2回接種後にOPV2回を公費で接種する方法もあります。広くOPVが接種されている日本ではOPV接種児からの二次感染の危険も考えられるのでいくつかの施設ではこの方式をとっています。当院では全てIPVとする方法を考えておりますが、希望があれば2回のIPV後のOPV予定でもご家族の判断ですので接種しています。
- すでに1回OPVワクチンを接種している場合
1回目:OPV接種から2ヶ月以上経過した後
2回目:1回目の8週間後
3回目:4歳から6歳
国内未承認及び海外渡航ワクチンであることと保障の問題もあり、当院ではこのワクチンは当分同時接種いたしません。接種について当日の不安がある方は必ず連絡下さい。
IPVは4歳から6歳での追加接種が必要です。また、ポリオ汚染地域に渡航する場合は追加接種が必要です。
以上を納得なされた上で希望する方のみに接種いたします。
料金は1回6,000円とします。
現在は火曜日と金曜日の午後2:30から接種しています。
このホームページやリンク先を見て納得した方は電話で予約をして下さい。電話での質問には対応できかねます。
予約の電話は当院内科休診時間帯の月、火、水、金の14:30から16:00までの時間のみです。それ以外の時間帯では対応できかねます。
予約時には住所、氏名、電話番号を職員に伝えて下さい。前もって来院された際には問診票も前もってお渡しします。
電話で予約された初診の方は10分以上早く来院し、もう一度説明書に目を通して下さい。
問診票をお持ちでない方はその場で記載して下さい。
持参するものは保険証、母子手帳や前もって記載した問診票です。
保護者が同伴して下さい。委任状のみではこのワクチンは接種いたしません。
キャンセルは出来るだけ早期に電話でお知らせ下さい。他の希望者に時間とワクチンを変更できます。
この内容は不活化ワクチンのページ(リンク参照)やIPV接種を考える医師のメーリングリスト(ipv-ml)での情報を参考にさせていただきました。
不活化ポリオの接種を開始して遠距離からの来院者が多くいらっしゃいます。車で来院する際気をつけて頂きたいことがあります。アクセスページの地図を参照して下さい。当院近くに右折禁止の信号があります。取り締まりが頻繁に行われています。
平成24年1月13日から毎週金曜日午後2時から2時30分にかけて不活化ポリオワクチンについて質疑応答の場を設けています。当院の待合室で行います。説明の後に質問を受けます。診察券は要りません。
受付で名前と連絡先を記載して下さい。
母親が電話でIPV2回接種後に市でOPV接種をしたいとの問に対し、高崎市では未承認IPV後の人にはOPVを接種しませんと対応されたのでOPVを諦め、4回のIPVにしたと当院に報告された方がいます。以前にこの欄にこの件を記載しておいたところ、3月9日に高崎市のワクチン担当者から電話があり、2月末に厚労省に問い合わせてIPV接種には行政の範囲外であり問題はないとの返答を得たそうです。以前にIPV後のOPVは接種しないと言った対応をしたとの報告は 聞いていないとのことです。現在はIPV接種後のOPV接種は可能ですが、前もって問診票にIPV接種医の署名、捺印と許可を示す○を書きいれておくか、接種会場から接種医に電話で確認が必要とのことです。高崎市の方でIPV後にOPVを希望 する方は前もって市の担当部署に電話で問い合わせた方が良いでしょう。
他の市町村の人からはそう言った情報はありません。
H24.3.11更新