家族性高コレステロール血症(FH)

家族性高コレステロール血症(FH)について

当院は群馬県で初めて家族性高コレステロール血症の指定治療施設に認定されました。家族性高コレステロール血症とはどういった病気なのかご説明します。

概念、疫学

遺伝性にコレステロールが上昇する病気です。
一般的な高脂血症と違い、動脈硬化の進展速度が速く、重症例では20代、30代で心筋梗塞を発症することがあります。

遺伝子異常を片方の親から受け継いでいる場合を「ヘテロ接合体」、両方の親から受け継いでいる場合を「ホモ接合体」といいます。ヘテロ接合体の患者は200-500人に1人の頻度で認め、治療を受けている高脂血症の患者さんの8.5%を占めると報告されています。

診断

家族性高コレステロール血症(ヘテロ接合体)診断基準は、下記のうち2項目以上が当てはまると診断されます。

  • 1LDL-コレステロール(悪玉コレステロール)が未治療の時に180mg/dl以上

  • 2黄色腫(黄色い脂肪のおでき)、アキレス腱の肥厚がある

  • 32親等以内の早発性冠動脈疾患または家族性高コレステロール血症

治療、管理

治療は基本的にはお薬の治療となります。
家族性高コレステロール血症の症例では、一般的な高脂血症よりも厳しい管理目標となり、血中LDL-コレステロールが100mg/dl以下になるようにします。薬の使用量、上限も一般的な脂質異常症とは別に設定されています。

検査方法

親や兄弟ともにコレステロールが高い、狭心症や心筋梗塞の人がいる、などといったことがあれば気軽にご相談下さい。家族性高コレステロール血症は、高脂血症で薬を飲んでいるのにコレステロールの数字がなかなか良くならない方のなかに非常に多く潜んでいます。治療しているのにLDL-コレステロールが140mg/dl以上のことがあれば相談して下さい。せっかく治療するなら中途半端なことはせずにしっかり病気を予防しましょう。

希望があれば遺伝子検査、全身の動脈硬化検査、アキレス腱検査などを当院及び連携している大学病院などで行うこともできます。